日商簿記は、日本商工会議所が主催する会計・経理の知識を証明する資格です。
企業の財務状況を理解し、経理業務を正確に遂行するための知識が身につくため、経理・財務・税理士事務所・一般企業の管理部門などで重宝されています。
日商簿記は あらゆる業界・職種で役立つ実践的な資格です。
今回は、日商簿記の試験内容や勉強方法、活かし方などを詳しくお伝えします。
日商簿記資格の基本情報
日商簿記には 3級・2級・1級 の3つのレベルがあり、それぞれの難易度や出題範囲が異なります。
- 資格名:日商簿記検定
- 認定機関:日本商工会議所
- 受験資格:なし(誰でも受験可能)
- 試験形式:筆記試験(3級・2級はCBT方式もあり)
- 試験実施時期:
- 3級・2級:年3回(6月・11月・2月)
- 1級:年2回(6月・11月)
簿記3級は 経理の基礎知識 を証明する資格であり、個人事業主や小規模企業の経理担当者に役立ちます。簿記2級は 企業の財務担当者レベル のスキルが求められ、転職市場での評価も高くなります。簿記1級は 公認会計士や税理士を目指す人向け の高度な内容で、企業の経営戦略にも活かせる知識を習得できます。
受験資格は特にないため、 初心者からでも挑戦しやすい資格 です。ただし、上級レベルになるほど難易度が上がるため、計画的な学習が求められます。
簿記のメリット・デメリット
簿記のメリット
資格取得のメリットとして、まず 就職・転職に有利 であることが挙げられます。
経理・財務職を目指す人にとっては、日商簿記2級以上を持っていると履歴書のアピールポイントになります。
また、税理士・公認会計士などの上位資格にも必要になるため、キャリアアップを考えている人に最適な資格です。
さらに、 ビジネスパーソンにとって必須のスキルでもあります。
会計の基本を理解していると、企業の財務状況を正しく把握し、適切な意思決定ができるようになります。
特に経営者や個人事業主は、簿記の知識があることで会社の資金管理がスムーズになり、経営判断の精度が向上するでしょう。
- 2級以上でアピールポイントになる
- 事業には必要不可欠な知識になる
簿記のデメリット
簿記の資格は誰でも取ることができる資格で、学校の学科によってはカリキュラムに含まれていることもあります。
そのため、3級の資格では、即戦力としての効果は低いと言えます。
企業の大きさによっては、2級でも重宝されにくい可能性もあります。
また、取得難易度も1級に関しては、合格率10%前後と難易度が高めとなっています。
- 3級だとアピール力が低め
- 1級の資格は難易度が高め
日商簿記の試験難易度と合格率
日商簿記は級によって難易度が大きく異なるため、自分の目的に合わせた級を受験することが大切です。
級 | 合格率 | 学習時間の目安 |
---|---|---|
3級 | 40~50% | 50~100時間(1~3ヶ月) |
2級 | 20~30% | 150~300時間(3~6ヶ月) |
1級 | 10%前後 | 500~800時間(6ヶ月~1年以上) |
簿記3級は比較的初心者向けの内容で、正しい勉強方法を実践すれば独学でも十分に合格可能です。
一方、簿記2級になると商業簿記に加えて工業簿記が加わる ため、難易度が一気に上がります。
しかし、2級までであれば、独学でも比較的簡単に資格を取ることはできます。
簿記1級は合格率が10%前後と低く、かなりの学習時間が必要 です。
試験範囲が広く、管理会計や税効果会計など専門性の高い内容も出題されるため、税理士や公認会計士へステップアップしたい方に向いています。
このように、各級の難易度は異なるため、 自分の目的に合った級を選び、計画的に勉強を進めることが重要です。
日商簿記1級を目指すのであれば、『ネットスクール』というスクールがおすすめ!
日商簿記の試験内容と出題範囲
日商簿記の試験は、級によって出題範囲が異なります。
簿記3級(基礎レベル)
- 商業簿記(仕訳・勘定科目・財務諸表の基礎)
- 小規模企業の経理業務に役立つ知識
簿記2級(企業経理レベル)
- 商業簿記(財務諸表の作成、帳簿記入)
- 工業簿記(原価計算・製造業向け会計)
- 企業の経理職として実践的に使える知識
簿記1級(上級レベル)
- 商業簿記(高度な財務会計、企業会計原則)
- 工業簿記(標準原価計算、CVP分析)
- 会計学(連結会計、税効果会計)
- 原価計算(意思決定会計、管理会計)
特に 簿記2級では商業簿記と工業簿記の両方を学ぶ必要があるため、学習量が大幅に増えます。
3級と2級では試験範囲が異なるので、 最初から2級を目指す場合は基礎固めが重要です。
日商簿記の受験費用は?申し込み方法はどうすればいいの?
日商簿記検定の受験費用は級ごとに異なります。
- 3級:3,850円(税込)
- 2級:5,720円(税込)
- 1級:7,850円(税込)
試験は年に3回(6月・11月・2月)実施されており、3級と2級はCBT方式(コンピューター試験)を選ぶこともできます。
CBT方式の場合、全国の試験会場で随時受験が可能です。
日商簿記の申し込み方法
受験申し込みは、日本商工会議所の公式サイトまたは各地の商工会議所の窓口から行います。
→https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping
申し込み期間が限られているため、試験日程が発表されたら早めに申し込みましょう。
CBT方式の場合は、専用の申し込みサイトから受験日を選択できます。
申し込み時に注意しておきたい点が3つあります。
- 1級は筆記試験のみで、CBT方式は利用でない。
- 受験料の払い戻しは原則としてできない。
- 申し込み後に試験日や会場の変更はできない。
この3つの点は注意しておきましょう。
資格取得のための勉強方法
日商簿記の合格には、効率的な学習方法が重要です。
独学での勉強方法
独学で勉強する場合、まずは信頼できるテキストを選ぶことが大切です。
ここでは、私の友人が使った教材をご紹介しておきます。
- 「スッキリわかる簿記シリーズ」(TAC出版) → 初心者向け
- 「みんなが欲しかった簿記の教科書」(TAC出版) → 図解が多く理解しやすい
- 「パブロフ流でみんな合格 簿記シリーズ」 → アプリと連携できる
また、試験の出題傾向を知るために、過去問を3年分は解くことが推奨されます。
特に2級・1級では、過去問を繰り返し解くことが重要です。
過去問は「いま合格!日商簿記2級過去問題集」がおすすめですよ。
2級と3級は商工会議所のページで一部公開されてます。
そちらも参考に勉強を進めていくといいですよ。
スクール・通信講座の活用
独学が不安な方は、オンライン講座やスクールを活用するのもおすすめです。
スクールであれば、『ネットスクール』を
教材であれば、LEC東京リーガルマインドがおすすめです。
スクールを利用するメリットは、わからない部分を講師に質問できることと、計画的に学習を進められることです。
日商簿記の級別勉強のポイント
- 3級は「仕訳問題」を重点的に学習
- 2級は「商業簿記+工業簿記」のバランスが重要
- 1級は「財務会計」と「管理会計」の理解が必須
自分のスタイルに合った勉強方法を選び、合格を目指しましょう!
簿記の資格取得後のキャリアと年収
日商簿記の資格を取得すると、経理・財務・会計関連の職種で活躍できるようになります。
日商簿記3級の場合
3級は、基本的な会計知識を証明する資格です。
会計に必要不可欠の知識を証明してくれますが、実際のところ就職でアピールポイントになる場面があまりありません。
そのため、簿記3級の資格で狙える年収は250万~350万円ぐらいになります。
しかし、一般事務・経理アシスタントであれば無資格の方よりも有利に働きます。
日商簿記2級の場合
2級は、企業の経理担当者として必要な知識を身につけるレベルです。
そのため、企業で重宝される資格になります。
経理・財務・会計事務所スタッフ・税理士補助の就職・転職を考えている方にとってはアピールポイントになる資格です。
年収は経験にもよりますが、350万~500万円と平均的な年収を狙うことができる資格になります。
日商簿記1級の場合
1級を取得すると、専門的な会計知識が証明され、税理士試験の受験資格も得ることができます。
また、1級の資格を持っていれば、経理部長・財務管理・公認会計士事務所・税理士事務所で活躍することができます。
そのため、平均年収も高くなり500万~650万円ほどになります。
また、簿記一級の資格は税理士の資格を取るために必要な資格になります。
税理士資格を取ることができれば、年収1000万を狙うことができます。
簿記の知識は、多くの業界で求められています。
資格を取得すれば、キャリアアップや転職のチャンスが広がります。
8. 資格の将来性と市場需要
近年、経理・財務の仕事はデジタル化が進んでいますが、それでも簿記の知識は必要不可欠です
企業の経理・財務人材の需要は高い
企業が適切な財務管理を行うためには、簿記の知識を持つ人材が不可欠です。
特に中小企業やスタートアップでは、簿記2級・1級を持つ人材のニーズが高まっています。
AI時代でも会計の知識は求められる
AIやクラウド会計ソフトの普及により、単純なデータ入力作業は自動化されています。
しかし、財務分析や経営判断に必要な会計の知識は、AIでは補えません。
簿記の知識を持つ人は、今後も企業にとって重要な存在であり続けるでしょう。
税理士・会計士の登竜門としての重要性
日商簿記1級を取得すれば、税理士試験の受験資格を得ることができます。
そのため、税理士や公認会計士を目指す人にとっても、日商簿記は欠かせない資格です。
簿記資格はこんな人におすすめ!
まとめ
日商簿記は、ビジネスの現場で広く役立つ資格です。
- 3級は基礎知識、2級は実務レベル、1級は専門職レベル
- 簿記の知識はAI時代でも必要とされるスキル
- キャリアアップや転職に有利な資格
初心者でも独学で合格できる試験なので、興味がある方はぜひ挑戦してみましょう!
その他のスキルに興味のある方は「キャリアアップに役立つスキル・資格」をご覧ください。
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